平成26年3月に消費税法施行令等の一部が改正されました。
1 簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
【改正の概要】
簡易課税制度のみなし仕入率が、次のとおり改正されました。
・金融業及び保険業が、第四種事業から第五種事業へ(みなし仕入率60%⇒50%)
・不動産業が、第五種事業から新たに設けられた第六種事業へ(みなし仕入率50%⇒40%)
【適用開始時期】
この改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。ただし、次の経過措置が設けられています。
平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間であっても当該届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間(簡易課税制度の適用を受けることをやめることができない期間)については、改正前のみなし仕入率が適用されます。
(注)平成26年10月1日以後に、「消費税簡易課税制度選択届出書」を新たに提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、改正後のみなし仕入率が適用されます。
簡易課税制度の適用を受けている事業者が、その適用を受けることをやめようとする場合には、適用を受けることをやめようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
ただし、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、2年間継続した後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して、その適用をやめることがはできません。
【具体例】
平成25年3月31日以前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出して、簡易課税制度の適用を受けている事業者が、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、その適用を受けることをやめようとするときは、平成27年3月31日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
2 課税売上割合の計算における金銭債権の譲渡に係る対価の額の算入割合の見直し
【改正の内要】
これまで、消費税の課税売上割合(注)の計算上、貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(資産の譲渡等の対価として取得したものを除きます。(※))の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の全額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされていましたが、今回の改正によりその譲渡に係る対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされました。
※ 資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡については、その譲渡等の対価の額は課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価の額(分母)に含めないこととされています。
改正前 金銭債権の譲渡に係る対価の額の全額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入
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改正後 金銭債権の譲渡に係る対価の額の5%に相当する金額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入
【適用開始時期】
この改正は、平成26年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用されます。
3 輸出物品販売場制度の見直し
【改正の内要】
(1)免税対象物品の範囲の拡大
食品類、飲料類、薬品類、化粧品類その他の消耗品については、これまで、輸出物品販売場における免税販売の対象外とされていましたが、外国人旅行者などの非居住者に対して同一の店舗における1日の販売額の合計が5千円超50万円までの範囲内の消耗品について、次の方法で販売する場合に限り免税販売の対象とされました。
① 非居住者が、旅券等を輸出物品販売場に提示し、当該旅券等に購入記録票(免税物品の購入の事実を記載した書類)の貼付けを受け、旅券等と購入記録票との間に割印を受けること。
② 非居住者が、「消耗品を購入した日から30日以内に輸出する旨を誓約する書類」を輸出物品販売場に提出すること。
③ 指定された方法により包装されていること。
(注)非居住者が国外における事業用又は販売用として購入することが明らかな物品は、通常生活の用に供する物品に該当しないため、これまでと同様に免税販売の対象になりません。
(2)その他
輸出物品販売場を経営する事業者が保存すべき書類の追加や購入記録票等の様式の弾力化・記載事項の簡素化などの改正が行なわれました。
【適用開始時期】
この改正は、平成26年10月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用されます。
輸出物品販売場(免税店)を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対して通常生活の用に供する物品を一定の方法で販売する場合には、消費税が免除される制度です。
なお、輸出物品販売場を開設しようとする事業者は、販売場ごとに、事業者の納税地を所轄する税務署長の許可を受ける必要があります。