平成31年(2019年)10月1日から消費税の軽減税率制度が実施されます

軽減税率制度の実施時期
平成31年10月1日(消費税率の引上げと同時)

消費税率等
標準税率は、10% (消費税率 7.8%、地方消費税率(注)2.2%)
軽減税率は、 8% (消費税率 6.24%、地方消費税率(注)1.76%)
(注)地方消費税の率は、消費税額の78分の22

軽減税率の対象品目
① 酒類・外食を除く飲食料品
② 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

帳簿及び請求書等の記載と保存
・ 対象品目の売上げ・仕入れがある事業者の方は、これまでの記載事項に税率ごとの区分を追加した請求書等の発行や記帳など経理(区分経理)を行っていただくことなります。
・ 仕入税額控除の要件は、現行、「帳簿及び請求書等(注1)の保存」ですが、軽減税率制度実施後は、こうした区分経理に対応した帳簿及び請求書等(注2)の保存が要件となります (区分記載請求書等保存方式) 。

(注)1 「請求書等」には一定の領収書や納品、レシート等も含まれす。
2 「区分記載請求書等」といいます。なお、平成35年10月からは「区分記載請求書等」に代わり、「適格請求書等」の保存が要件となります (適格請求書等保存方式) 。

税額の計算
・ 売上げ及び仕入れを税率ごとに区分して税額計算行う必要があります。
・ 区分経理が困難な中小事業者の方には、経過措置として売上げに係る税額 (売上税額) 又は仕入れに係る税額(仕入税額)の計算の特例があります。

~飲食料品の取扱い(売上げ)がない場合や免税事業者の場合も軽減税率制度への対応が必要です~

課税事業者の方

・軽減税率対象品目の売上げ・仕入れの両方あり
例)飲食料品を取り扱う小売・卸売業(スーパマーケット、青果店等)、飲食業(レストラン等)

・軽減税率対象品目の仕入れのみあり
例)会議費や交際費として飲食料品を購入する場合等

①発行する請求書等は区分記載求請求書等へ
②取引先から、区分記載請求書等を受領し、日々の取引を税率ごとに記帳(区分経理)
③申告時の税額計算
※仕入れのみの場合は②と③

免税事業者の方

・軽減税率対象品目の売上げあり

課税事業者と取引を行う場合、区分記載請求書等の交付をめられる場合があります。

1 軽減税率の対象となる品目

飲食料品

飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除く。)をいい、一定の一体資産を含みます。
なお、外食やケータリング等は軽減税率の対象に含まれません。

新聞

軽減税率の対象となる新聞とは、 一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもの(定期購読契約に基づくもの)。

主な用語の意義・留意点
飲食料品
飲食料品とは、「一般に人の飲用又は食用に供するもの」をいいます。
例えば、工業用の塩は、軽減税率の対象となる飲食料品に含まれせん。
外食
飲食店営業等の事業を営む者が飲食に用いられる設備がある場所において行う食事の提供
ケータリング等
相手方の注文に応じて指定された場所で調理・給仕等を行うもの
有料老人ホーム等で行う飲食料品の提供は、軽減税率の対象
テイクアウト・宅配等
飲食店営業等の事業を営む者が行うもであっても、いわゆるテイクアウト・宅配は軽減税率の対象
一体資産
おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、その一体となっている資産に係る価格のみが提示されているもの
税抜価額が1万円以下であって、食品の価額の占める割合が2/3以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象 (それ以外の場合は、標準税率の対象 )

2 帳簿及び請求書等の記載と保存(区分記載請求書等保存方式)(平成31年10月~平成35年9月)

 課税事業者の方は、仕入税額控除のため帳簿と区分記載請求書等の保存が必要となります(区分記載請求書等保存方式)。
 免税事業者の方も課税事業者の方と取引する場合、区分記載請求書等の発行を求められる場合があります。

平成31年9月30日まで【現行制度】
帳簿への記載事項
 課税仕入れの相手方の氏名又は名称・取引年月日・取引の内容・対価の額
請求書等への記載事項
 請求書発行者の氏名又は名称・取引年月日・取引の内容・対価の額・請求書受領者の氏名又は名称

平成31年10月1日から平成35年9月30日まで【区分記載請求書等保存方式】
帳簿への記載事項
(上記に加え)
 軽減税率の対象品目である旨
請求書等 への記載事項
(上記に加え)
 ① 軽減税率の対象品目である旨
 ② 税率ごとに合計した対価の額(税込み)
 ※ ①及び②については、請求書等の交付を受けた事業者による追記も可能

(注)1 請求書等には、記載事項を満たす領収書や納品書、小売業者が交付するレシートなど取引の事実を証する書類も含まれます。
2 取引額が3万円未満の場合や、自動販売機から購入するなど請求書等の交付を受けることが困難な場合は、現行どおり、帳簿への記載により仕入税額控除が認められます。

《区分記載請求書等の記載例》
現行の請求書等記載事項に加え、次の①及び②を記載することとされました。
① 軽減税率の対象品目である旨の記載(例えば、税率(8%)の記載や、 「※」「★」等の記号と凡例の記載)
② 税率ごとに合計した対価の額(税込み)の記載
(参考)
取引先から上記①及び②の記載がない請求書等を受け取った場合、受け取った事業者は、事実に基づいて①及び②の記載事項を自ら追記することができます。

3 税額計算の特例

 税額計算は、原則として売上げ又は仕入れを税率ごに区分して行うこととなりますが、
売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な中小事業者 (基準期間(法人:前々事業年度、個人:前々年)における課税売上高が5,000万円以下の事業者 )に対し、売上税額又は仕入の税額計算の特例があります。

売上税額の計算特例

 売上げを税率ごとに区分するこが困難な中小事業者は、次の方法により軽減税率の対象売上げ及び売上税額を計算することができます。

① 仕入れを税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む中小事業者
卸売業・小売業に係る売上げに【小売等軽減仕入割合】を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上げとし、売上税額を計算
【小売等軽減仕入割合】=卸売業・小売業に係る軽減税率対象品目の仕入額(税込み)÷卸売業・小売業に係る仕入総額(税込み)

② ①以外の中小事業者
売上げに【軽減売上割合】を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上げとし、売上税額を計算
【軽減売上割合】=通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上額(税込み)÷通常の連続する10営業日の売上総額(税込み)

③ ①・②の計算が困難な中小事業者 (注)
①・②の計算において使用する割合に代えて50%を使用して、売上税額を計算
(注)主に軽減税率対象品目を販売する中小事業者が対象

適用対象
以下の期間において行った課税資産の譲渡等
平成31年10月1日から平成35年9月30日までの期間
※ ①については、簡易課税制度の適用を受けない期間に限る。

仕入税額の計算特例

 仕入れを税率ごとに区分することが困難な中小事業者は、次の方法により軽減税率の対象仕入れ及び仕入税額を計算することができます。

① 売上げを税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む中小事業者
卸売業・小売業に係る仕入れに【小売等軽減売上割合】を乗じた金額を軽減税率対象品目の仕入れとし、仕入税額を計算
【小売等軽減上割合】=卸売業・小売業に係る軽減税率対象品目の売上額(税込み)÷卸売業・小売業に係る売上総額(税込み)

適用対象
以下の期間において行った課税仕入れ
平成31年10月1日から平成32年9月30日の属する課税期間の末日までの期間
※ 簡易課税制度の適用を受けない期間に限る。

② ①以外の中小事業者
簡易課税制度を適用しようとする課税期間中に消費税簡易課制度選択届出書を提出し、同制度を適用し、仕入税額の計算が可能
(参考)原則は、簡易課税制度を適用しようとする課税期間の開始前に消費税簡易課税制度選択届出書の提出が必要

適用対象
以下の課税期間に適用可能
平成31年10月1日から、平成32年9月30日までの日の属する課税期間
※ 消費税簡易課税制度選択届出書は平成31年7月1日から提出可能

4 適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)(平成35年10月1日~)

 平成35年10月1日以降は、 区分記載請求書等の保存に代えて、「適格請求書等」の保存が仕入税額控除の要件となります(適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度))。
○ 適格請求書等を発行できる事業者は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)
(注)申請受付は、平成33年10月1日からとなります。
○ 適格請求書等には、 区分記載請求書等の事項に加え、「登録番号」、「税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分した合計額及び適用税率」、「消費税額等」の記載が必要
○ 適格請求書発行事業者には、取引の相手方である課税事業者から求められた場合、適格請求書等の交付及び写しの保存を義務付け

免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

 事業者が国内において適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについては、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等及び帳簿を保存している場合に、以下のとおり仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できます。

平成35年10月1日から平成38年9月30日までは、仕入税額相当額の80%
平成38年10月1日から平成41年9月30日までは、仕入税額相当額の50%

国税庁HP消費税軽減税率制度 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/index.htm

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