税務調査手続の明確化~国税通則法等の改正~

平成23年度税制改正において、税務調査手続の明確化等を内容とする国税通則法等の改正が行われました。
以下、国税庁パンフレット「税務手続について(国税通則法等の改正)」より改正事項に関する解説の抜粋です。

◆記帳と帳簿書類の保存
個人の白色申告者のうち前々年分あるいは前年分の事業所得、不動産所得又は山林所得の合計額が300万円を超える方に必要とされていた記帳と帳簿書類の保存が、これらの所得を生ずべき業務を行う全ての方(所得税の申告の必要がない方を含みます。)について、平成26年1月から同様に必要となります。

◆更正の請求
「更正の請求」は、原則として法定申告期限から5年間することができます。その際には、「更正の請求」をする理由の基礎となる事実を証明する書類を添付していただく必要があります。
なお、故意(勘違いや単純な誤りなどの過失は含まれません。)に内容虚偽の更正の請求書を提出した場合について、法律に罰則の定めがあります。
(注)「更正の請求」をすることができる期間は、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について5年(改正前:1年)に延長されています。

◆税務調査手続
従来からの運用を踏まえて、税務調査手続が国税通則法において法定化されています。
この改正は、平成25年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する税務調査について適用されます。ただし、「帳簿書類の預かり」及び「処分理由の記載」については、税務調査の開始時期にかかわらず、平成25年1月1日以後に行う場合に適用されます。

●事前通知
税務調査に際しては、原則として、納税者に対し調査の開始日時・開始場所・調査対象税目・調査対象期間などを事前に通知します。その際、税務代理を委任された税理士に対しても同様に通知します。
なお、合理的な理由がある場合には、調査日時の変更の協議を求めることができます。
ただし、税務署等が保有する情報から、事前通知をすることにより正確な事実の把握を困難にする、又は調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、事前に通知せずに税務調査を行うことがあります。

●質問事項への回答と帳簿書類の提示又は提出
税務調査の際には、質問検査権に基づく質問に対して正確に回答してください。また、調査担当者の求めに応じ帳簿書類などを提示又は提出してください。
なお、質問事項に対し偽りの回答をした場合若しくは検査を拒否した場合、又は正当な理由がなく提示若しくは提出の要求に応じない場合、あるいは、偽りの記載をした帳簿書類の提示若しくは提出をした場合などについて、法律に罰則の定めがあります。
(注)質問検査権行使の一環として、調査担当者が帳簿書類などの提示又は提出の要求をできることが法律上明確化されています。

●帳簿書類の預かりと返還
調査担当者は、税務調査において必要がある場合には、納税者の承諾を得た上で、提出された帳簿書類などをお預かりします。その際には、預り証をお渡しします。
また、お預かりする必要がなくなった場合には、速やかに返還します。

●調査結果の説明と修正申告や期限後申告の勧奨
税務調査において、申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、調査結果の内容(誤りの内容、金額、理由)を説明し、修正申告や期限後申告(以下「修正申告等」といいます。)を勧奨します。
また、修正申告等を勧奨する場合においては、修正申告等をした場合にはその修正申告等に係る異議申立てや審査請求はできませんが更正の請求はできることを説明し、その旨を記載した書面をお渡しします。

●更正又は決定
(修正申告等の勧奨に応じていただけない場合には、税務署長が更正又は決定の処分を行い、更正又は決定の通知書をお送りします。)
なお、税務署長が更正又は決定の処分を行うことができるのは、原則として法定申告期限から5年間です。
(注)平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税(所得税、相続税、消費税等)について、増額更正を行うことができる期間が5年(改正前:3年)に延長されています。

●処分理由の記載
税務署長等が、更正又は決定などの不利益処分や納税者からの申請を拒否する処分を行う場合には、その通知書に処分の理由を記載します。
(注)個人の白色申告者(所得税の申告の必要がない方を含みます。)のうち、平成25年において記帳・帳簿等保存義務が課されない方(平成20年から平成24年までのいずれかの年において、記帳・帳簿等保存義務が課された方等を除きます。)に対する処分理由の記載については、平成26年1月1日から適用されます。

●更正又は決定をすべきと認めらない場合の通知
税務調査の結果、申告内容に誤りが認められない場合や、申告義務がないと認められる場合などには、その旨を書面により通知します。

●再調査
税務調査の結果に基づき修正申告書等が提出された後又は更正若しくは決定などをした後や、上記「更正又は決定をすべきと認められない場合の通知」をした後においても、税務調査の対象とした期間について、新たに得られた情報に照らし非違があると認められるときは、改めて税務調査を行うことがあります。

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