キャッシュレス決済の加盟店手数料補助の仕訳

加盟店手数料補助公募要領2019年8月版PDF(一般社団法人キャッシュレス推進協議会)より抜粋

 決済事業者が加盟店に支払う加盟店手数料の1/3相当額は、公的な国庫補助金を財源とした補填金であり、加盟店から決済事業者に対する何らかの資産の譲渡等の対価として支払うものではないことから、消費税は不課税となる。
 また、この補填金は「手数料の値引」ではなく「手数料の補填金」となるため、決算事業者側及び加盟店側の会計処理及び消費税の処理において、加盟店手数料の値引処理を行わないようにしなければならない。

<加盟店手数料が消費税法上の非課税取引の場合の会計処理例(例:クレジットカード等)>

カード決済額 110,000円(内、消費税 10,000円) 加盟店手数料率 3.0%(3,300円)の場合

A:全額の加盟店手数料を徴収した後に当該加盟店手数料の1/3を支払う場合

・会員のクレジットカードによる決済時

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

売掛金 110,000 売上(課税売上) 100,000
仮受消費税 10,000
・決済事業者から加盟店への支払い時

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

普通預金 106,700 売掛金 110,000
支払手数料(非課税仕入) 3,300             
・決済事業者から加盟店への経費補填金の入金時

 加盟店が負担した手数料 3,300円 X 1/3 = 1,100円 の補助

(加盟店側仕訳)

普通預金 1,100 雑収入(不課税売上) 1,100

(注)経費補填金は「不課税売上」のため、支払手数料(非課税仕入)の値引きとしないように留意が必要

B:予め補填金1/3を清算する方法

・会員のクレジットカードによる決済時

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

売掛金 110,000 売上(課税売上) 100,000
仮受消費税 10,000
・決済事業者から加盟店への支払い時(売掛金入金時の相殺)

 従来の手数料 3,300円を請求(売掛金入金)で補助予定額 1,100円を差し引く。

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

普通預金 107,800 売掛金 110,000
支払手数料(非課税仕入) 3,300 雑収入(不課税売上) 1,100

(注)経費補填金は「不課税売上」のため、支払手数料(非課税仕入)の値引きとしないように留意が必要

<加盟店手数料が消費税法上の課税取引の場合の会計処理例(例:電子マネー等)>

カード決済額 110,000円(内、消費税 10,000円) 加盟店手数料率 2.0%(税別)2,200円の場合

A:全額の加盟店手数料を徴収した後に当該加盟店手数料の1/3を支払う場合

・電子マネー等での決済時

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

売掛金 110,000 売上(課税売上) 100,000
仮受消費税 10,000
・決済事業者から加盟店への支払い時

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

普通預金 107,580 売掛金 110,000
支払手数料(課税仕入) 2,200             
仮払消費税 220
・決済事業者から加盟店への経費補填金の入金時

 加盟店が負担した手数料 2,420円 X 1/3 = 806.66円 ⇒ 小数点切り捨て ⇒ 806円の補助

(加盟店側仕訳)

普通預金 806 雑収入(不課税売上) 806

(注)経費補填金は「不課税売上」のため、支払手数料(課税仕入)の値引きとしないように留意が必要

B:予め補填金1/3を清算する方法

・電子マネー等での決済時

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

売掛金 110,000 売上(課税売上) 100,000
仮受消費税 10,000
・決済事業者から加盟店への支払い時(売掛金入金時の相殺)

(加盟店側仕訳)※売掛金入金時に手数料を計上する場合

 決済事業者と加盟店とで手数料売上と経費補填金は相殺後の金額で現金の授受が行われるが、両者の消費税の取扱が異なるため、支払手数料(課税仕入)2,200円と雑収入(経費補填金:不課税売上)806円は相殺せず総額にて会計処理を行う。

普通預金 108,386 売掛金 110,000
支払手数料(課税仕入) 2,200 雑収入(不課税売上) 806
仮払消費税 220

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