為替戦争・自分で蒔いた種 事務所便り2013年2月18日(月)No290

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為替戦争

 この20年間で、日本に出回っているおカネの量は40兆円から130兆円に増えました。でもGDPは横ばいですから、金融緩和は効果がないと言う人もいます。これはまったくの誤り。そういう人は日本国内のデータしか見ておらず、国際的視点が完全に抜け落ちている。
 20年で日本のおカネの量が3倍になったと言いますが、OECD(経済協力開発機構)の加盟国はもっと大量におカネを増やしている。特に、07年の金融危機以降、米国はドルの量をどんどん増やしましたが、日本は円をほとんど増やさずにきたのです。

 各国は、金融危機だ、このままでは国家破綻だと言って、凄まじい勢いで金融緩和をしてきた。たとえばドルやユーロ、ウォンの量が2倍になったのに、円の量が変わらなければ、円のみ価値がハネ上がって超円高になる。われわれはその状況に、ひたすらじっと耐えてきた。
 現在の為替相場は、言ってみればこうした「行き過ぎた円高」が是正されているだけのこと。ところが諸外国は、それを「日本の横暴だ」と非難しているのだから、正直、開いた口が塞がらない。

サムスン、ヒュンダイといった韓国の基幹企業がウォン安の恩恵で業績を伸ばし、日本のメーカーを圧迫してきたのは周知の事実。円安が進めば攻守が逆転し一転、韓国企業が存亡の危機を迎える。円安・ウォン高など「あってはならない」ことだと。
 そしてそれは米国、欧州にとっても同じ。ゼネラル・モーターズ(GM)などの自動車大手を代表し、米自動車政策会議のブラント会長は1月17日、円安について、「貿易相手国を犠牲にして自国の成長を図る『近隣窮乏化政策』であり、受け入れられない」などと非難声明を発表した。
 さらにドイツのショイブレ財務相も同日の議会演説で、「非常に懸念している」と公言。あたかも日本が、自分勝手な円安誘導で世界経済の秩序を乱しているかのように批判する。

 「日本の主張」をしておかなければならない。
「今までさんざん円高を助長する政策を繰り返し、自分たちは通貨安で儲けてきたのは誰でしょうか」と、元財務官僚の高橋洋一氏が述べています。
 日本に円高デフレ不況を招いた、金融政策の失敗は日銀だけではない。無責任な自民党政権が、デフレ政策の一丁目一番地であった事実を忘れてはならない。
 

自分で蒔いた種

 自然界に存在する人間の掟は誠に厳しい。しかもこれは永久に変わらず、その昔から永遠の将来まで、証として実存している。
 真理は峻厳(しゅんげん)にして侵すべからず。間違った生き方に対する正しい心構えが万一にも用意されないと、たちまち、事実が反省を促します。
 その反省を促す事実とはいかにといえば、病なり不運です。
 どうも現代文化教養を受けている理知階級は、人生に侵すべからざる報償の法則があるということに対して、正しい自覚を持っていない傾向をしばしば事実として感じさせるんです。
 どんなことであろうと、事の大小を問わず、知る知らないを問わず、すべての人生の出来事は偶然に生じたものではありません。アクシデントというものは、自己が知る、知らないを問わず、必ず自己が蒔いた種に花が咲き、実がなったんです。
「生きる心構え」というものに正しい自覚が、そして反省が、常に油断なく行われていないで生きると、ぜんぜん自分が気のつかないような悪い種を、健康的にも運命的な方面にも蒔いてしまうんです。
                                                ー中村天風

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